K邸マンションリフォーム

今回のマンションリフォームでは、施主様のこだわりを最大限に活かしながら、細部まで丁寧に仕上げました。


まず、全体の一体感を持たせるために、各所にニッチを多く取り入れています。壁の凹凸を利用したデザインは、空間に立体感を生み出し、収納やディスプレイの自由度を高めています。

キッチン前のカウンターには、施主様のご要望に応え、左官仕上げの質感を存分に生かした仕上げを施しました。左官の持つ独特の風合いが、空間に柔らかさと重厚感を加え、無機質になりがちなキッチン周りを優しい表情にしています。職人が一つひとつ手作業で塗り上げたことで、微妙な陰影や質感の違いが生まれ、唯一無二の存在感を放っています。


床材には大判タイル調を使用し、玄関からキッチン、リビングまでを一続きに施工することで、違和感なく使える仕様になっています。タイルの継ぎ目を最小限に抑えることで、清掃性を向上させるとともに、広々とした印象を持たせました。色味もシックなグレー系で統一し、落ち着いた空間を作り出しています。

キッチンは、機能性とデザイン性を兼ね備えたステンレス仕様を採用。カウンターとの一体感を持たせるために、シャープなラインを意識した設計となっており、無駄を省いたシンプルなデザインが特徴です。バックセットの収納には白を基調とした面材を使用し、間接照明を取り入れることで、柔らかな光が空間全体を包み込むように工夫しました。


また、廊下からキッチンへと続く動線もスムーズに確保し、視線の抜けを意識した設計になっています。壁の一部に開口を設けることで、閉塞感をなくしながらも適度なプライバシーを確保。これにより、リビングとキッチンのつながりを持たせながら、用途に応じた使い分けがしやすい空間となりました。

また今回のリフォームでは、キッチンの換気システムとしてIHクッキングヒーター専用の室内循環フードを採用しました。これは、従来のダクトを使った換気扇とは異なり、フィルターを通して空気を浄化し、室内へ戻す仕組みになっています。


〈ダクトありの換気扇との違い〉
通常の換気扇はダクトを通じて屋外へ排気するため、外部にダクトを設置するスペースや、壁や天井に開口部を設ける必要があります。

しかし、今回のリフォームではダクトを設けずに換気を行う方式を採用し、以下のようなメリットを活かしています。

  1. 建物への負担を軽減
    ダクトの設置が不要なため、天井や壁の構造に影響を与えず、設計の自由度が高まります。特に、既存の建物に新たにダクトを通す場合、梁や壁の補強が必要になることがありますが、それを回避できます。
  2. 断熱性能を維持しやすい
    ダクトを外部に通すと、開口部を通じて室内の暖気や冷気が逃げやすくなるため、断熱性能が下がることがあります。室内循環フードなら、そうした影響を受けにくく、冷暖房効率を保ちやすいというメリットがあります。
  3. 施工コストや工期の削減
    ダクト工事が不要な分、施工の手間やコストを抑えられます。また、壁や天井の補修作業が減るため、工期も短縮できます。
  4. 設置場所の柔軟性

ダクトの位置に縛られずに換気設備を配置できるため、キッチンのレイアウトをより自由に決めることができます。特に、アイランドキッチンやオープンキッチンでは、空間の広がりを損なわずに設置できる点が大きな利点です。


施主様のご要望に細やかに対応しながら、素材選びや仕上げに職人の技術を活かしたことで、見た目だけでなく、使い勝手の良い住まいへと仕上がりました。細部にわたるこだわりが詰まったリフォーム工事となり、長く快適に過ごしていただける空間になっています。

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